
不動産投資における法人設立
今回は不動産投資において、法人設立をして不動産を所有する方々がいらっしゃるので、その仕組みと理由、気にしておくべき点などをご紹介いたします。不動産投資のための法人を所有する上で、周辺情報も共有しながらご紹介する方がよいため、今回から4回に分けてご紹介をしていきます。
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①法人設立って具体的に何をすればいいのか。
②意外と知られていない法人設立した後、必要な届出5項目
③不動産投資家が法人設立する意味とは?
④法人設立すべきかどうかにおいて、気にしておくべき点は?
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①法人設立って具体的に何をすればいいのか。
法人設立は、法人(会社や組織)を公式に作成し、法律上の存在とする手続きです。
以下は、法人設立の主なステップになりますので、前提の理解のためにご一読ください。
1. 法人の種類を選択する
最初に、どのタイプの法人にするかを決定します。例えば、株式会社、合同会社、一般社団法人、特定非営利活動法人(NPO法人)などがあります。
不動産投資における法人設立では、設立費用が抑えられる合同会社や、一般的に皆さんが目にしている名称の株式会社にする方が多く見受けられます。
設立費用は、内訳として登録免許税と司法書士等に支払う報酬に分かれています。本記事の執筆時の相場としては、合同会社が11万円、株式会社が25万円というのが相場であると考えられます。
2. 定款の作成
会社の基本的なルールや運営方針を記載した文書である定款を作成します。株式会社の場合、定款の認証が必要です。
本記事においては、会社の「目的」という欄に「不動産の所有、賃貸、管理、運用、売買及びその仲介」という内容を入れたりしますが、
売買及びその仲介という文言は入れない方がいいかもしれません。不動産の売買及び仲介には「宅建業免許」の取得が必要となるためです。
一般的な不動産投資であれば、「不動産の所有、賃貸、管理及び運用」といった具合に留めておきましょう。
3. 資本金の払い込み
定款に定めた資本金を設立時に払い込みます。通常、銀行口座に振り込みます。
資本金は1円から設定することができます。今まで拝見してきた不動産資産管理法人でよくある資本金は、1万円や10万円というものがありました。これは、設立する代表者の判断になってきます。
ちなみに、資本金を1,000万円を超えると法人住民税の均等割でかかる税金の額が変わったりするため、不動産投資のためだけであれば、資本金を増やすメリットはあまりありません。
4. 登記申請
法務局に登記申請を行います。必要な書類(定款、払込証明書、役員の同意書など)を提出します。
主に前述の費用の中に司法書士の報酬も含まれていますので、このあたりは司法書士に依頼することになります。
一般的には、フォーマットを用意してくれて、資料作成をしてくださるので、その資料に印鑑を押すことくらいしか作業はありません。
5. 設立登記の完了
法務局での審査が完了し、登記が認められれば、法人は正式に設立されます。登記完了後に法人の登記簿謄本が発行されます。
司法書士によりますが、最初の謄本を取得して渡してくれたり、ファイルに入れて、法人設立という記念すべき出来事を感じさせてくれるようなサポートをしてくださる方もいらっしゃいます。司法書士の色が出るところかなと思います。
6. 法人印鑑の登録
法人の印鑑を作成し、市区町村役場で登録します。登録印鑑は重要な契約や書類に使用されます。
印鑑の作成までおこなってくれる司法書士もいます。それは、市区町村役場で提出する書類に直接その法人印鑑の押印が必要になったりするため、実務上の工数を少なくする意味でも、よく採用されています。それがないと印鑑登録が完了しないため、安心して任せていいところかと思います。
7. 税務署・労働基準監督署・年金事務所への届出
法人設立後、所管の税務署に法人設立届出書を提出します。また、労働者を雇用する場合は労働基準監督署や年金事務所にも必要な届出を行います。意外と知られていないのですが、法人設立届出書以外に4つ提出するべき書類があります。
税理士が提出してくれることが多いですが、別途費用を請求する税理士もいるようです。
その4つとは、青色申告承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書、源泉所得税の納期の特例の承認申請書、そして消費税課税事業者選択届出が該当します。ただ、4つめの消費税課税事業者選択届出の提出必要性については、税理士と相談してください。
不動産賃貸業のみの法人であれば、今では、ほとんどの場合、消費税課税事業者選択届出の提出は必要はありません。
※「今では」というところが気になる方は別で記事も書きますのでそちらをご確認ください。
まとめ
今回は法人設立をしていくステップをご紹介しました。
不動産投資をするための法人設立という視点から必要な内容を補記しています。
次回は、7の届出のところでご紹介した必要な届出5項目について、それぞれの届出が「なぜ」必要なのかを説明していきます。
この届出をしないと、あとあと作業が増えたり知らないうちに納税していないということになりかねないため、正しく理解する必要があります。