【節税商品比較】築古戸建投資と他の節税商品の特徴を比べてみよう!
「築古戸建投資」は、税金を抑えられる節税商品のひとつです。節税商品には、他にも種類があります。
そこでこの記事では、「築古戸建投資」「太陽光発電投資」「別荘の共有持分」の3つの節税商品を紹介し、それぞれのメリット・リスク・リスク回避策を解説します。
節税に関する基礎知識
節税商品を比較するうえで、まず理解していただきたいのが「所得」と「減価償却」の仕組みです。
所得税や住民税の金額を決めるベースとなるのが、「所得」です。所得税は、「所得×税率」で決まり、所得が多いほど税率が高くなります。
「所得=収入-経費」です。つまり、経費が多いほど所得が圧縮され、課せられる税金も低くなります。
この経費に関わるのが、「減価償却」です。減価償却とは、固定資産の取得費用を耐用年数で分割し、毎年少しずつ経費として計上する仕組みです。
節税商品① 築古戸建投資
では、1つ目の節税商品「築古戸建投資」を紹介します。
築古戸建投資とは、築30〜40年以上の木造戸建を安く購入し、リフォームして賃料収入を得る投資手法です。
日本全国に、老朽化した築古戸建の空き家が多数の空き家が存在します。これらを活用し、低リスクで始められる節税商品として注目されています。
さらに、築古戸建投資は単なる節税商品ではなく、社会的意義を持つ投資でもあります。空き家を活用することで、地域の景観や治安を向上させ、新たな住まいを提供できるからです。
<築古戸建投資のメリット>
1.建物の償却期間が短い
築古戸建投資の1つ目のメリットは、建物部分の償却期間が短いことです。
築古戸建投資においては、建物部分の購入費用を耐用年数に応じて分割して経費にできます。木造建物の法定耐用年数は22年ですが、これを超えた木造住宅の場合、「耐用年数×20%=4年(端数切り捨て)」が残存耐用年数とされ、4年で減価償却できます。
たとえば、物件価格が500万円で、土地価格が100万円、建物価格が400万円とすると、減価償却費は以下のとおりです。
- 建物価格:500万円-100万円=400万円
- 年間減価償却費:400万円÷4年=100万円
この年間減価償却費が経費となることで、課税される所得が圧縮されます。購入金額の大部分を4年で経費計上できるため、短期間で節税効果を得られるのです。
2.キャッシュフローがプラスになる
2つ目のメリットは、キャッシュフローがプラスになることです。
都心以外の地方都市であれば、リフォーム済み築古戸建を700〜1,000万円以内で購入でき、月8〜10万円程度で賃貸できます。家賃収入からローン返済や管理費などの諸経費を引き、月1万円程度キャッシュフローをプラスにすることも可能です。
3.自己資金ゼロで始められる可能性がある
築古戸建投資は、場合によってはフルローン、つまり自己資金ゼロで取得できるのもメリットです。
また、総額が1,000万円未満であるため、撤退する際や万が一のことがあっても、負担が比較的軽くて済みます。
4.出口が複数ある
築古戸建は実需があるため、一般住宅として売却も可能です。利回り10%以上を狙えるため、投資家にも売却しやすいでしょう。
<築古戸建投資のリスク>
1.リフォームを怠ると、メンテナンスコストが膨らむ
築古戸建投資のリスクは、安く買えたとしてもリフォームを怠ると、後々のメンテナンスコストが膨らむことです。
DIYすればコストは抑えられますが、施工が不十分になったり、入居者の安全を損なったりするリスクがあります。初期にしっかりとリフォームを施すことが、築古戸建投資を成功させるために重要です。
2.需要がないエリアだと空室化する
築古戸建投資には、入居者が見つからないという空室リスクが伴います。築古戸建を再生しても、結局空き家に逆戻りしてしまうケースも考えられます。
周辺の賃貸需要や人口動態を確認したうえで、エリアや物件を選定しましょう。
3.不動産投資全般のリスクもある
築古戸建に限らず、不動産投資全般に言えるリスクも当然存在します。災害、家賃滞納、金利上昇などが、不動産投資における一般的なリスクです。
<築古戸建投資のリスク回避策>
1.リフォーム済みパッケージ商品を選ぶ
想定外のメンテナンスコストや空室リスクを避けるためには、信頼できる不動産会社がリフォームを完了させたパッケージ商品を選ぶのがおすすめです。
2.売主が不動産会社の物件を選ぶ
築古戸建投資においては、「売主」がひとつのポイントとなります。
宅地建物取引業法において、売主が不動産会社(宅建業者)で買主が個人(宅建業者以外)の場合、「契約不適合責任」が発生すると定められています。これは、たとえば雨漏りやシロアリなど契約との不適合が発覚したとき、修繕費用を請求できるというものです。
専門的な知識を持つ宅建業者である売主と比べ、知識の少ない買主を保護するため、このように決められています。
節税商品② 太陽光発電投資
次の節税商品は、「太陽光発電投資」です。
太陽光発電投資では、太陽光パネルを設置し、発電した電気を電力会社に売却することで収益を得ます。太陽光発電投資は、経済産業省が定めたFIT制度(固定価格買取制度)に支えられている点が大きな特徴です。
<太陽光発電投資のメリット>
1.定率法で初期段階の節税効果が大きい
太陽光発電投資では、初期段階の節税効果が大きくなります。
まず、太陽光発電設備は「機械装置」に分類され、法定耐用年数は17年と定められています。太陽光発電設備の減価償却でポイントとなるのが、定額法ではなく定率法という方法を選べることです。
定率法では、毎年決まった金額ではなく、固定資産の未償却残高(まだ経費として計上されていない残りの金額)に対して、毎年一定の割合(償却率)をかけて減価償却費を計算します。
たとえば、2,000万円の太陽光発電設備を定率法(償却率0.118)で償却すると、初年度は約236万円、2年目は約208万円の減価償却費を計上できます。
このように、定率法は初年度から数年間に大きな減価償却費を計上できるのが特徴です。初期段階の節税効果が大きくなります。
2.消費税還付が受けられる可能性がある
課税事業者として太陽光発電設備を購入すれば、購入時に支払った消費税の還付を受けられる可能性があるのも、太陽光発電投資のメリットです。
ただし、還付を受けた場合、売却時には消費税を納税する必要があるため注意してください。
3.不動産と違って入退去がない
太陽光発電設備のもうひとつのメリットは、不動産と違って入退去が発生せず、空室リスクがないことです。FIT制度により、国が定めた価格で長期間にわたって電気を買い取ってくれるため、天候変動リスクを除けば、安定した売電収入が見込めます。
さらに賃貸物件のように、入居者募集や契約手続き、クレーム対応などの手間もかかりません。
4.融資で始められる
太陽光発電投資も築古戸建投資と同様に、融資を活用して自己資金ゼロで始められる可能性があります。FIT制度に基づいて安定収益が見込めるため、融資を得られやすいでしょう。
<太陽光発電投資のリスク>
1.メンテナンス不足により収益が悪化する
パネル清掃や雑草対策を怠ると、発電効率が落ち、売電収入が減少します。特に積雪エリアでは、雪の重みによる破損や、積雪による発電効率の低下リスクがあります。
2.出力抑制がある
電力の需給バランスが崩れると、電力会社からの指示で、発電した電気を売電できなくなる「出力抑制」が発生します。太陽光発電投資は、出力抑制により、売電収入が計画通りに入らないリスクがあります。
3. 売電収入から廃棄費用が引かれる
2022年から、FIT制度のもとで、太陽光発電設備の廃棄費用の積立が義務化されました。売電収入から、毎月一定額が自動的に積み立てられます。
4.名義変更の手続きが複雑である
太陽光発電設備の所有者が変更になったときは、経済産業省などへ名義変更の手続きをしなければなりません。この手続きは複雑で、時間がかかります。FIT制度は、要件を満たさないと承継できない恐れもあります。
<太陽光発電投資のリスク回避策>
1.小規模で中古の発電所を選ぶ
FIT制度は年々売電単価が低下しているため、初期のFIT認定を受けた物件は高収益が見込めます。このような物件を中古で購入、数年間保有して減価償却による節税効果を享受し、長期間保有しないのが賢明です。
2.買取価格を事前に確認しておく
ゆくゆく売却するときの価格を事前に確認することも重要です。購入前に、買取業者へ「数年後にいくらで買い取ってもらえるか」を確認しておくことで、出口戦略が明確になります。
3.メンテナンス業者は慎重に選ぶ
残念ながら、実際にはメンテナンスを行わず、過去の綺麗な写真を使い回して報告書を作成するような悪徳業者も存在します。信頼できる業者かどうか、実績や口コミを確認してメンテナンス業者を選びましょう。
節税商品③ 別荘の共有持分投資
3つ目の節税商品は、「別荘の共有持分投資」です。別荘の共有持分とは、別荘を複数人で所有することです。
<別荘の共有持分投資のメリット>
1.事業用として利用すれば経費計上できる
別荘の共有持分投資では、その別荘を事業用として利用する場合、別荘の費用を減価償却できます。維持・管理に関わる費用も経費計上が可能です。
ただし、個人事業主や副業として貸別荘を運営するなど明確な事業実態がなければ、経費計上できないため注意してください。
2.少額から始められる
築古戸建投資と同様に、少額から始められるのも別荘の共有持分投資のメリットです。
たとえば、1億円の別荘であっても、共有持分10分の1を購入すれば、1,000万円の投資ですみます。
3.自分自身も利用できる
別荘という性質上、自分自身も利用することができます。
年間の利用日数は持分割合に応じて決められていますが、自分のリフレッシュや家族旅行に活用できるのは、他の節税商品にはない付加価値です。
<別荘の共有持分のリスク>
1.流動性が低い
共有持分は市場性が低く、売却が難しいのが最大のリスクです。出口戦略が描きにくく、「いざ売却したい」と思っても買い手が見つからない恐れがあります。
2.一般住宅よりも維持管理費が高い
別荘は、一般的な住宅よりも維持管理費がかかります。特にリゾート地の高級別荘の場合、管理費も高くなる傾向です。共有持分であっても、管理費は持分割合に応じて負担する必要があります。
3.他の共有者とトラブルになる可能性がある
別荘の共有持分投資では、他の共有者による利用規約違反や管理費の滞納など、共有ならではのトラブルが発生する可能性があるのもリスクです。
<別荘の共有持分のリスク回避策>
1.信頼できる管理会社を選ぶ
別荘の共有によるトラブルを最小限に抑えるため、信頼できる管理会社を選ぶのがポイントです。予約システムや清掃ルールが明確に定められており、運用実績のある運営会社を選びましょう。
2.節税だけを目的にしない
別荘は利用されなければ収入が入らず、自らも使わなければ、ただ管理費を払い続けることになります。年に数回でも利用する予定があるなら投資の価値はありますが、そうでなければ他の節税商品を検討したほうが良いかもしれません。
節税商品で何がしたいのか、目的をはっきりさせよう
ここまで3つの節税商品を比較してきましたが、最も重要なのは、「いつまでに」「どのくらいの所得税を圧縮したいのか」という目的を明確にすることです。
今年だけ収入が高くなるため一時的に所得を圧縮したいケースもあれば、継続的に所得を抑えたいケースもあるでしょう。投資商品を選ぶ前に、まずは自分の現在の所得状況と将来のライフプランを見える化することが大切です。
また、節税効果を正確に判断するために、税理士などの専門家に相談しましょう。
まとめ
節税商品として、「築古戸建投資」「太陽光発電投資」「別荘共有持分」のメリット・リスク・リスク回避策を紹介しました。
これらの投資に取り組む際は、すぐにやめられる規模感から始めるのがおすすめです。小規模であれば、万が一失敗してもダメージを最小限に抑えられます。
まずは自分の税負担・収益構造を正しく把握し、信頼できる専門家に相談しながら進めましょう。