
不動産は中期投資。2-3年での売却ではなく、5-10年は保有して収益を得るという考え方
不動産投資をしようと考えるとき、2〜3年くらいで売却して利益を得たいと希望する方もいらっしゃるかもしれません。特に高い利回りのインパクトのある数字を見ると、すぐに利益が出ると思ってしまいがちです。
しかし、不動産投資は時間がお金に変わるものです。購入から売却までのスパンが短すぎると、思ったような利益が得られないどころか赤字になることもあります。
この記事では、不動産投資が短期で利益を出すのが難しい理由と、不動産投資において重要な中期的視点を解説します。
1.不動産投資が短期間で利益を出すのが難しい理由
不動産投資では、特に最初は個人名義で物件を購入する方が多いでしょう。その場合、2〜3年で売却すると利益を出すのは困難です。
初期費用を抑えられる築古戸建投資であっても、減価償却の計上が終わる5年前後での売却も少々早いかもしれません。短期間で利益を出すのが難しい理由は、主に3つです。
<購入のたびに諸経費がかかる>
不動産を購入する際には、仲介手数料・登記費用・不動産取得税・火災保険などの諸経費が発生します。諸経費は物件価格の6〜10%程度が一般的です。
たとえば800万円の物件を購入した場合、諸経費だけで50万円以上がかかることもあります。不動産は購入のたびに諸経費が重くのしかかるのです。
<短期譲渡所得だと税率が高い>
個人名義で不動産を売却して利益が出た場合、その譲渡所得に対して税金がかかります。
保有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」となり、約39%(所得税+住民税)の税率が適用されます。5年を超えて保有した場合の「長期譲渡所得」では、税率は約20%に下がります。
わずか数年の差で税負担が重くなることを考えると、保有期間は少なくとも5年超を目安に考えるのが妥当です。
<時間がお金に変わりきっていない>
たとえば、利回りが10%の物件であれば、元本の回収までに10年間かかります。利回り5%なら、20年間かかります。
元本の回収には年単位の時間が必要です。2〜3年だと、お金が時間に変わり切っていない段階で売却することになるため、利益を出すのが難しいのです。
2.不動産投資で重要な中期的視点
上記のような理由から、不動産投資では中期的に保有して収益を得る考え方が求められます。具体的には以下の点に気をつけましょう。
<長期入居が見込める物件を選ぶ>
短期で入居者が入れ替わると、その都度リフォーム費用や募集費用が発生して収益を圧迫します。空室リスクの少ない物件であれば、5〜10年と安定して収益をえられます。
一般的に、ファミリー層向けの戸建や、周辺環境が整っていて子育てしやすい地域などは長期入居が見込める傾向です。
<リフォームも中期的視点で行う>
初期投資を抑えたいところですが、中期的な視点でリフォームを行うことも必要です。最低限の原状回復ではなく、ある程度長く住んでもらうことを想定して設備の入れ替えや内装に手を入れましょう。
入居者が長く住んでくれたら、結果として退去が少なくなり、安定的に収益が積み上がっていきます。
<高い利回りを狙いすぎない>
利回り20%、30%といった表面的な数字に飛びつくと、物件自体の構造や設備に問題が潜んでいるケースがあります。その結果、リフォーム費用がかさんでしまうこともあり得るのです。
高い利回りを狙いすぎず、物件の状態をしっかりチェックしましょう。
3.まとめ
不動産投資は短期で利益を出すのではなく、中期で時間をかけてリターンを得るものです。特に個人名義で初めて投資する場合、2〜3年で売却する設計では、諸経費・税金・回収率などの観点から見て不利になります。
購入後、5〜10年程度の保有期間を見越して計画を立てることで、利益を出せるようになります。物件選び・リフォーム・利回りのすべてにおいて中期的目線を持つことが重要です。
時間を味方につけることで、不動産投資で収益を得られるようになるでしょう。