不動産で利益を出すとは、どういう意味?2種類の儲け方について解説
「老後2000万円問題」やインフレへの不安などから、資産形成への関心が高まっています。さまざまな選択肢がある中で、昔から根強い人気があるのが「不動産投資」です。
しかし、言葉は知っていても、「不動産で利益を出すための具体的な方法」を正確に理解している方は意外と少ないかもしれませんね。
不動産投資における利益の出し方には、大きく分けて「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の2種類があります。
これらの違いを理解することは、不動産投資を成功させるための第一歩なのです。
本記事では、これら2つの利益の出し方から、利益を高めるための重要ポイントまで、初心者の方にもわかりやすく解説します。
不動産投資の「インカムゲイン」とは?
インカムゲインとは、資産を保有し続けることで、継続的に得られる収益を指します。
不動産投資においては、購入したアパートやマンションの一室を、第三者に貸し出すことで毎月家賃を受け取る、という「家賃収入」がこれにあたります。
多くの方が不動産投資と聞いてイメージするのは、おそらくインカムゲインなのではないかと思います。
では、不動産投資でインカムゲインを得ることの主なメリットを紹介しましょう。
毎月安定した収入が見込める
不動産を貸し出せば、入居者がいる限り長期的に毎月決まった家賃を得られます。そのため将来の資産計画を立てやすいのは大きな魅力です。また世の中の景気が悪くなっても、家賃は急に下がりにくい傾向があり、安定した収入の柱になってくれます。
少ない自己資金で大きな投資も可能
長期的に安定収入が見込めれば、銀行のローンを利用して手持ち資金では買えない高額の物件を購入するという選択肢を検討できます。少ない元手で効率よく大きなリターンを目指すレバレッジ効果も期待できます。
インフレに強い
インフレが加速し物価上昇が進むと、現金の価値は下がります。一方、不動産という「モノ」で持っていれば、その価値は物価上昇とともに上がりやすくなります。さらに、家賃を物価上昇に合わせて見直すこともできるのです。インフレに左右されにくいのも、不動産投資のインカムゲインの特徴と言えるでしょう。
一方で、注意点もあります。代表的なものを紹介します。
空室リスク
入居者が見つからない「空室」は、大きなリスクです。空室の間は家賃収入が途絶える上に、ローン返済や管理費などの支出は続きます。そのため、キャッシュフローが悪化する恐れがあります。
維持管理のコスト
経年劣化による修繕費やリフォーム費、固定資産税、管理費、入居者募集のための費用など、物件維持のためのコストは継続的に発生します。資金計画の際には、将来的なコストまでしっかりと想定することが大切です。
入居者トラブル
例えば、家賃滞納や騒音問題などのトラブルが起きる可能性もあります。リスク軽減には、管理や対応を信頼できる管理会社に委託することも一案です。
不動産投資の「キャピタルゲイン」とは?
キャピタルゲインとは、保有する資産を購入時より高い価格で売却することで得られる利益(売却差益)です。
不動産投資においては、例えば3,000万円で購入したマンションが、数年後に3,500万円で売れた場合、差額の500万円(税金や諸経費を除く)がキャピタルゲインとなります。
「安く買って、高く売る」という方法はとてもシンプルですが、インカムゲインに比べると「難しい」「ハードルが高い」と感じる方が多いかもしれません。
不動産投資におけるキャピタルゲインの主なメリットを紹介しましょう。
短期的に大きな利益を目指せる
不動産価格が上向くタイミングや、周辺の再開発など物件価値が上昇する要因が重なるときは、短期間で物件の価値が大きく上がることがあります。時には、家賃収入の数年分にあたるような大きな利益を得られる可能性もあります。
手間が少ない
インカムゲインを得ようとすると、入居者の募集や物件の維持管理など長期間必要です。一方でキャピタルゲインの場合、売却できればそこで一旦投資は完了します。そのため、手間やコストが少なくて済む可能性があります。
キャピタルゲインの注意点についても見ていきましょう。
物件価格の下落リスク
不動産価格は、景気や金利、社会情勢、周辺地域の変化などさまざまな要因で変動します。購入金額を下回れば、損失となる可能性も十分あります。
将来の予測が難しい(不確実性)
「この物件は将来値上がりするはず」という予測に基づいた投資のため、毎月決まった収入が得られるインカムゲインと比べると不確実性が高いと言えます。成功には、専門的な知識や情報収集、市況の動向を読む力などが求められます。
利益に税金がかかる
不動産を売って得た利益には、税金(譲渡所得税・住民税)がかかります。特に注意したいのが、買ってから5年以内に売って出た利益(短期譲渡所得)には、高い税率がかけられるというルールです。そのため、いつ売るかというタイミングが重要になります。
双方の特徴を紹介してきましたが、決して「どちらの方がいい」というわけではありません。
長期的に安定したキャッシュフローを求めるならインカムゲイン、市況を読みつつ短期的に大きな利益を狙うならキャピタルゲインというように、自分が何を求めるかによって適した戦略は異なります。
不動産投資で利益を高める3つの重要ポイント
インカムゲインとキャピタルゲイン、どちらを主軸に置くにしても、不動産投資の収益性をできるだけ高めるには、共通して押さえるべき重要なポイントが3つあります。
1. 投資スタイルに合わせた物件選び
不動産投資で何より大切なのは「どの物件を選ぶか」です。
例えば、インカムゲインを重視するなら、学生街や若いビジネスパーソンに人気のエリアなど、賃貸の需要が絶えない立地は有利です。表面的な利回りの高さだけでなく、「周辺に競合となる物件が少ないか?」「将来的に人口は増えそうか?」といった視点もふまえ、長期的に安定した家賃収入が見込めるかを慎重に見極めましょう。
そして、キャピタルゲインを狙うなら、「将来、その不動産の価値が上がることを期待できるかどうか」が鍵となります。
例えば、再開発の計画があるエリアや、新しい駅や道路などインフラ整備が進むエリアの物件は、将来的な価格上昇のポテンシャルを秘めていると言えるでしょう。
2. 無理のない資金計画
不動産投資は、物件や土地の価格だけでなく、仲介手数料や税金といった初期費用、また保有し続けるために管理費や修繕費、固定資産税、火災保険料といった維持のためのランニングコストもかかります。
自己資金をどれだけ用意できるか、ローンはどれくらい利用するのか、急な出費や空室が発生した場合は……など、さまざまなことを考慮した余裕のある資金計画を心がけましょう。
3. 出口戦略は購入前から描く
不動産投資の最終的な利益は、売却して初めて確定します。
そのため、購入前から「いつ、誰に、いくらで売るのか」というゴールをイメージしておくことがとても重要です。
たとえインカムゲイン目的の長期保有であっても、いつかは必ず売却のタイミングが訪れます。
例えば、「ある程度ローンが減った10年後に売る」「大規模な修繕が発生する前のタイミングで手放す」など、具体的な計画を立てると、「今この不動産を買うべきか?」という判断もしやすくなるでしょう。
まとめ
本記事では、不動産投資における2つの利益の出し方について解説しました。
それぞれの特性をしっかり理解し、ご自身の資産状況やリスク許容度、目的に合わせた投資スタイルを選択することが、不動産投資を成功させるためにはとても大切です。
投資戦略に悩んだとき、より専門的な知見が必要だと感じたときは、不動産のプロフェッショナルにアドバイスを求めるのも良い方法です。
当社でもご相談をお受けしていますので、ぜひ一度お問合せください。