
不動産の初心者は、買う前にその物件の「出口」を真剣に考えよう
不動産を初めて購入する方にとって、最大の関心事は「どの物件を買うか」ではないでしょうか。立地、間取り、価格など、ついつい「入口」に目がいきがちです。しかし重要なのはその物件を売ること、すなわち「出口」です。
「出口」を見据えていない不動産購入は、資産ではなく重荷になってしまう可能性もあります。だからこそ、「出口」について真剣に考えるべきです。この記事では、不動産を買う前に考えるべき「出口」の3つの視点を紹介します。
1. いつ売るのか?
「いつ売るのか?」をはじめに考えましょう。
不動産を買うとき、「一生住むつもりだから売ることはない」と考える方も多いと思います。しかし、どんな方も売却の可能性はゼロではありません。転勤や家族構成の変化、住宅ローンの負担、老後の住み替えなど人生は常に変化するため、売却する可能性が出てくるかもしれないからです。
実際に市場には多くの中古物件が流通しており、多くの方が売る経験をしているということになります。「売るとしたらこのタイミング」という時期を事前にイメージしておくことが大切です。
たとえば、「10年後に子どもが独立したらコンパクトなマンションに住み替えるかもしれない」「親の介護のために住み替えが必要になる可能性がある」など、ざっくりとした想定でもかまいません。「住宅ローンの残債がある程度減る15年後を目処に売却したい」などと明確に考える方もいるでしょう。
「出口」の時期をイメージしておけば、その時点でのローン残高の予測や、売却時期に向けた家のメンテナンス計画を考えられるようになります。
2. いくらで売れるのか?
「いつ売るのか」が見えてきたら、次は「いくらで売れるのか」を考えます。
もちろん将来の売却価格は不確定です。しかし、今の相場と築年数の経過を加味することで、おおまかな売却価格を予測することは可能です。次のような方法で予測してみましょう。
- 不動産ポータルサイトを使って、近隣エリアの条件が似た物件の売買価格を調べる。
- 近隣エリアの過去の売買事例を調べる。
- 不動産投資用のシミュレーションツールを使って試算する。
認識しておきたいのは、「買った価格=売れる価格」ではないことです。築年数の経過や物件の劣化によって価格は大きく変動します。
将来の売買価格は、エリアの将来性にも左右されます。そのため、該当エリアの人口動態、再開発の有無、交通インフラの整備予定などもチェックしておきたいポイントです。
築年数による価値低下やエリアの将来性を加味して仮に、購入時に4,000万円だった物件が、15年後に3,000万円になると予測されるとします。その時点のローン残高が2,000万円であれば、手元に残る資金は差額1,000万円と見込めます。
「売却価格-借入残高 =手元資金」をイメージすることは、資産管理において非常に重要です。
併せて、不動産の売却時には譲渡所得税がかかることも認識しておきましょう。
3. いくらで貸せるのか?
最後の視点は、「売れなかったとき、あるいは売らずに貸すとしたらいくらで貸せるのか?」という考えです。
売却したくても売れなかったときや、ライフスタイルの変化が起きたときに、自宅を手放すことなく賃貸に出すという選択肢も出てきます。そのため、家賃がどの程度になるかも考えておくべきです。
たとえば、4,000万円のマンションを購入し、月のローン返済額が10万円、想定家賃が12万円だったとしましょう。このケースでは、差額の2万円がキャッシュフローとしてプラスになります。反対に、もし家賃相場が月8万円の場合は、赤字になってしまいます。
実際には管理費や固定資産税、火災保険料などさまざまなコストも考慮しなければなりませんが、いくらで貸せるかを考えることは結果的に不動産投資の第一歩にもなるのです。
想定家賃を考える際も不動産ポータルサイトを活用して、似たような物件の家賃相場や最寄駅からの距離・利便性などから予測します。
想定家賃をあらかじめ調べておくことで、売らずに貸す選択肢も「出口」のひとつとして準備しておくことができます。
4.まとめ
不動産の購入はゴールではなくスタートです。買う前の時点で、将来的にどう売るのかという「出口」を描いておくのが重要です。
今回紹介した「いつ売るのか?」「いくらで売るのか?」「いくらで貸せるのか?」の3つのポイントについて、自分なりに答えを出したうえで物件を選びましょう。
特に不動産の初心者の方は、「出口」を考えることをぜひ意識してみてください。「出口」を考える際に必要な要素である税金やコストは複雑なため、より具体的に考えたいときは不動産のプロに相談してみるのもおすすめです。